ダゴモンの海に関する考察について
ダゴモンの海は残された伏線や解決してない問題とされることがありますが、先に結論を言ってしまうと、個人的にはそういったものはないと感じております。
02の最終回で言われた通り、ダゴモンの海は「人の暗い思いが具現化した世界」であり、ハンギョモンの姿をした何か(以下「彼ら」とします)も「デジモンではない生物もいる」と、それ以上でもそれ以下でもないと思っているからです。気になることと言えば、ダゴモンの海に送られたデーモンがどうなったかくらいです。
とはいえ、見直していく中で気になった点ともあったので、今回ダゴモンの海を考察のテーマにしてみました。
具体としては、
・ダゴモンの海はどういう世界なのか
・ダゴモンの海を支配しようとする新しい神とは
・ダゴモンの海にあったダークタワー関連について
・「彼ら」について
・まとめ
という構成になります。
〇他の世界との関係
前述のとおり、ダゴモンの海は「人の暗い想いが具現化した世界」です。
似たような世界として「想いを具現化する世界」があり、こちらは「人の想いを具現化する世界。願いを実現させる力そのもの。人の想いとデジタルなデータが融合した世界」とされています。そして、デジタルワールドもその力を基に成り立っています(02-48~50話)。
終盤以前にも、光子郎の説明で「デジタルワールドにはデータが集合する時に、まず形を決めるシステムがあり、本人がそう思いこんだ形を読みとって、その通りにデータを組み上げる。大輔たちの服装が変わるのもそのため」とありました(02-33話)。賢のデジヴァイスもダゴモンの海で賢の望んだ形(D-3)に変化しました。
ここでまず考えてみたいのが「ダゴモンの海」と「想いを具現化する世界」との関係です。


※図は世界の位置関係を模式的にに表したもので、実際はもっと複雑に世界が絡まっています。
パターン①は「ダゴモンの海」は「想いを具現化する世界」を基に成り立った世界の一つであるという考え方です。「ダゴモンの海」はいくつかある感情の中でも暗い想いが強く出ており、デジタルワールドよりも深いところにあるが、あくまで「想いを具現化する世界」の力で成り立っているという考え方になります。
パターン②は「ベリアルヴァンデモンとの戦いが行われた想いを具現化する世界」も「ダゴモンの海」も
この2つ以上の世界全てをひっくるめてデジタルワールドを構成する「想いを具現化する世界」の一部であるという考えか方。
どちらにせよ、デジタルワールドの根幹となる世界ではあります。
また、図で上から現実世界→デジタルワールド→ダゴモンの海としたのにも理由があります。
それは、ダゴモンの海への行き来のほとんどがデジタルワールドを介在している描写が多かったためです。
初めてダゴモンの海が登場した13話では、テイルモンがエンジェウーモンに進化するための光も上空から降ってきましたし、ダゴモンの海から帰還する際にも上空に上がりデジタルワールドに到達しました。
31話では、デジタルワールドにいるときに位相の歪みに巻きもまれ、いつの間にかダゴモンの海に着いていました。
45話では、ダゴモンの海をデジタルワールドの奥の更に違う世界と表現しており、デーモンが開いたデジタルワールドへのゲートがダゴモンの海に変わり、デーモンをダゴモンの海に送る際に「ゲートを開くのが早すぎたようだな」と及川は言っておりました。
例外的にヒカリが初めてダゴモンの海に行った際には、現実世界から直接行ったようでしたが、ヒカリが消えた後、大輔がデジタルゲートを開けなくなっているという現象が起きていました。これも、ダゴモンの海に行くためにデジタルワールドを経由する必要があり、すでにゲートを使用しているので別のゲートは開けないのではと考えました。賢が初めて部屋のパソコンからダゴモンの海に行った際も、描写はないですがデジタルワールドを介在していた可能性はあります。
〇新しい神について
ダゴモンの海にヒカリを呼んだ理由は、イービルスパイラルを外してもらうことと新しい神に対抗するために子孫を増やす必要があったためとされています。
この新しい神は、深き所にいた神ではなく自分をあがめるよう言い、イービルスパイラルをによって力を奪ったとのことです
この新しい神を素直にとるならばデジモンカイザーですが、本当にそうなのでしょうか
そう考えた理由としては、
①デジタルワールドの征服が終わっていない状態で、ダゴモンの海に手を出す必要があったのか。
「彼ら」がイービルスパイラルをつけていたことから、02本編開始以前でなく、子供たちとの戦いの最中に来たのだと思いますが、単純になぜこのタイミングなのかというのが疑問です。
イービルリングでは支配できなかったからイービルスパイラルをつけに来たという説も考えましたが、そもそもイービルスパイラルの発明のきっかけがイービルリングに欠点があったためであったことから、この説はないでしょう。
②支配が中途半端な状態である。
「彼ら」はイービルスパイラルをつけられていましたが、ハンギョモンに姿を変え、わずかですが自我もあったように、完全には操られていませんでした。デジモンカイザーがそのような中途半端な状態で放置するだろうかというのが、2つ目の疑問です。①と連動しますが、軽い気持ちで支配しに来たものの完全な支配には時間がかかりそうだったので、イービルスパイラルを付けて行動を制限させるにとどまざるを得なかったとは考えられますが。
③ダゴモンの海にいたエアドラモン
エアドラモンはデジモンカイザーがしばしば移動手段にしていました。しかし、この回で登場したエアドラモンはダークタワーを壊した後でも狂暴であり、最終的にはエンジェウーモンに消滅させられました。この時エアドラモンがつけていたのはイービルリングですので、ダークタワーがなければデジモンカイザーの洗脳の力は届かないはずです。そもそも、タワーがあるとはいえ別世界にまで洗脳効果が届くかは疑問ですなのですが。
タケルとヒカリは、デジモンを殺すことにそこまで抵抗がないとはいえ02では極力は避けてきました。それでも殺さねばならない存在だったということでしょう。そうなると、このエアドラモンも、デジモンカイザーに操られた個体ではない、そもそも「彼ら」同様エアドラモンですらない可能性もあり、新しい神がデジモンカイザーではないと考える一因になりました。
他の候補としては、及川(ヴァンデモン)です。
及川がダークタワーはもともとこの世界にあったものと言っていたことから、アルケニモン又はヴァンデモン自身が一度はこの世界に来たことがあるのでしょう。
特に、ヴァンデモンはこの世界のことを及川に取り付く以前から知っていたと考えます。
無印で、ヴァンデモンの城のゲートの石板にカードを適当にはめ込むと全く違う別の世界に飛ばされてしまうとゲンナイは言っていました。ヴァンデモンもカードの隠された意味を解くための研究をしていたことから、現実世界以外の異界についても知っていたのでしょう。実際、想いを具現化する世界に来た際に、ヴァンデモンは偶然辿り着いたが、こここそ俺が願っていた世界と言ってたので(02-48話)、デジタルワールド以外の世界が存在することは知っていました。ただ、タケルに「デーモンの仲間か。それともダゴモンの」と問われた際に、「どちらでもない」と答えていたので、明確に手を組んでいたわけではないのは確かです(なぜタケルが「ダゴモン」という存在を知っていたのかは謎)。
しかしながら、新しき神をヴァンデモンだと仮定しても、カイザーの時と同じ疑問は残ります。
ヒカリを呼んだの新しい神に対抗するために子孫を増やす必要があったためと言っており、カイザーがいなくなった後は無理やり連れていかれることはとりあえずありませんでした。(02-31話の時も呼ばれたとは言っていたものの、位相の歪みや自身が闇を引き寄せてしまったことの影響のほうが大きい気がします。)
新しい神はデジモンカイザーが有力ではあるが、ヴァンデモンやその他の何かという可能性があるというのが現状の結論です。
ダゴモンの海に関連するアイテムについて
〇ダークタワー
・最大の効果はデジタルワールドの環境を変えること
→チンロンモン(デジタルワールドの東方)の力を封印、位相を歪ませる、現実世界の電子機器に影響
・進化抑制機能
デジモンカイザーのD3の進化抑制機能の力をキャッチし広める電波塔。
進化抑制機能はカイザーが消えた時に無くなった→アルケニモンが近くいると復活
・ダークタワーからデジモンの作成→環境への影響力は残っているが、進化抑制機能はない様子
「彼ら」がイービルスパイラルをつけられる以前からダークタワーは存在していたことからも、ダゴモンの海においてはデジタルワールドのように環境を変える効果はないようです。また、タワー破壊後も特に環境の変化はなかった様子なので、ダークタワーがダゴモンの海という環境をつくったわけでもないでしょう。
テイルモンは、タワーが力を奪っているといい、破壊後に超進化していましたが、後に来たホークモンやワームモンが進化できなかったことからも、進化を阻害していたのはタワーではなく、ダゴモンの海自体の影響でしょう。前述のとおり、ダゴモンの海は「人の暗い思いが具現化した世界」ですから、その暗い想いの中には進化を否定する概念も含まれていたのでしょう。
ホークモンやワームモンもダゴモンの海とデジタルワールドがつながることで通常進化ができました。テイルモンの進化もタワーを破壊したことで、一時的にですが封印の力が弱まり、デジタルワールド側からの干渉が可能になったためだと思われます(チンロンモンのいる東方地区はダークタワーがあったので、他の四聖獣の力だと思われます)。
タワーそのものに進化抑制機能は備わっていないとは考えられますが、そうすると、なぜアルケニモンが近くにいる時に進化抑制機能が復活するのかは謎です。
ダゴモンの海にあった理由ですが、ダゴモンの海や「彼ら」には特に影響はなかったことからデジモンカイザーのように外敵が建てたものではなさそうです。副次効果としては、デジタルワールドから干渉を防ぐとか、逆に他の世界の位相に影響を与えるというのもあったかもしれませんが、主目的ではないので、「彼ら」からするとモニュメント以上の意味はないのかもしれません。
〇D-3
D-3は賢がダゴモンの海にデジヴァイスを浸し変化したものがオリジナルで、他の子供たちのものは賢のⅮ-3に対抗するために与えられました。
賢のD-3のみに見られた機能ですが、
①ダゴモンの海へのゲートを開く
②通常進化抑制機能
③暗黒進化
④イービルリングをつけたデジモンを操る
ダゴモンの海が想いを具現化する世界と同じような世界であることから、デジヴァイスがD-3に変化したこと、望んだ機能やダゴモンの海に関連する力が備わったことは不思議はありません。
〇イービルリング、イービルスパイラル
ダゴモンの海とは直接の関連はないですが、ダークタワーやD-3と密接な関係にあるので記載。
イービルリング:ヴァンデモンがコピーしておいたテイルモンのホーリーリングのデータを逆転させて作った。装着したデジモンを操れる。
イービルスパイラル:イービルリングよりも処理能力と受信能力アップ(ダークタワーなしでも操れる)
デジモンカイザーがいなくなった後、アルケニモンがダークタワーを貴重と発言していたことから、及川達ではダークタワーを解析はできても新たに建てることはできなかったようです。
また、ホーリーリングのデータからイービルリングを作成したことからも、ヴァンデモンが早い段階でダークタワーとの組合せに気づいていたとすれば、ダゴモンの海を昔から知っていた可能性は高くなります。ただ、イービルリング等はあくまでカイザーの力を受信しなければ機能せず、ダークタワーもあくまで電波塔ですので、ヴァンデモンはどのようにイービルリングを使うつもりだったのでしょうか。
〇デジモンカイザーの基地
暗黒のエネルギー(暗黒の渦やダゴモンの海と似た感じとのこと)が基地を動かしていた。ホーリーリングで暗黒の力を制御していたが、カイザー消滅後、負のエネルギーを呼び寄せ爆発寸前だった。
なお、「優しさの紋章(奇跡のデジメンタル)」は動力源である(02-20話)とも暗黒の力の制御していた(02-26話)とも言われており、効果があいまいでしたので以下のように役割を整理してみました。
ホーリーリング→デジモンカイザーの要塞で暗黒の力を制御するために使われていた。そのまま置き去られていたのをジョグレス進化のために使わさせてもら
った。どこかで見たことがある。手にしたこともあるような(賢、31話)
暗黒の力→闇の世界とつながっており、純粋なエネルギー。
ホーリーリング→暗黒エネルギーが闇の世界から過剰に供給されないよう制御する役割
優しさの紋章(奇跡のデジメンタル)→供給された暗黒の力を制御し、基地の動力に変換する装置
※水道で例えるなら、暗黒の力→水、ホーリーリング→元栓、優しさの紋章→蛇口周りといった感じだと思います。
アイテム関係について時系列を整理すると、
①ヴァンデモンがテイルモンのホーリーリングのデーターをコピー
②及川がダゴモンの海でダークタワーを発見(ただし、ヴァンデモン自身が発見していた場合は①より先の可能性も)
(②~④の間)ヴァンデモンがイービルリング作成
③賢がダゴモンの海に行きD-3を手に入れる
④テイルモンホーリーリングを失う
⑤デジモンカイザーがホーリーリングを入手
⑥デジモンカイザーが動力源(奇跡のデジメンタル)を見つける
⑦要塞が移動式になる
〇「彼ら」について
冒頭で述べたとおり、彼らはデジモンではない、もともとそういう生き物としか言えないでしょう。
小説版では、「デジモン」は実体化したデータの内、生き物であるものの総称と言及されたことがありますが、これだと作中に登場していた植物や魚なども含まれるので正確な表現ではありません。そのあとに続く文でも、「デジモンはデジタマから生まれ、寿命を迎えるか死ぬかしたら再びデータに分解され、新しいデジタマとなる。デジモンにはデータ・ウイルス・ワクチン種に区分される」とあるように、生き物のすべてがデジモンというわけではありません。
しかし、「彼ら」は子孫を増やすためにヒカリを呼んだと言うことから、生体は明らかにデジモンと異なります。
彼らはどちらかというとゲンナイのような存在に近いのだと思われます。
ゲンナイの特性としては、
・人間でもデジモンでもない
・データはあるが実体はない
・属性を持たない
・ホメオスタシスというセキュリティシステムの手足となって働くためのエージェント
・同じ顔のエージェントも、元は一つである(02-40話)
デジモンではない故に、イービルスパイラルをもってしても操ることはできず、力を奪うだけにとどまっていたようです。デジモン(ハンギョモン)に姿を変えていたのが、「彼ら」自身の能力なのかイービルスパイラルの効果なのかは不明。
想いを具現化する世界で現れたデジモン達デジタルワールドに入った瞬間に元の個体しか残らなかったように、「彼ら」も誰かの想いで実体化したものの、元となる個体は限られているのかもしれません。現実世界に現れている個体もいたようなので、少なくとも1体は元個体になるのがいるようです。元個体が死ねば想いの力で具現化した個体まで減ることになりますので、新たな神に対抗するには元個体自体を増やす必要があったのかもしれません。しかし、なぜヒカリに目をつけたのか(ヒカリの特異体質もデジモンでないなら恩恵が少ないと思われる)、他の人物ではだめなのかは不明です。
ダゴモン(シルエットのみ)についても、「彼ら」同様デジモンの姿をした別物なのか、本当にデジモンなのかも不明です(イービルスパイラルは付けられていないと思いますが)。
〇最後に
考察前からわかってはいたのですが、案の定謎を新たに解明できるようなことはありませんでした。考えもうまくまとめられず、読みにくい内容ですが、一度色々な要素を整理してみるいいきっかけにはなりました。
さて、ダゴモンの海は敵であり、倒すべきものと捉える人は多いのではないでしょうか。
しかし、小説版でも、「光と闇は表裏一体、光と闇が均衡を保ってこそ、世界の安定がある」とあります。ということは、無印&02での闘いは闇を完全に消し去るものではなく、あくまで過剰に増加した闇の力がデジタルワールドのバランスを崩すのを防ぐためです。
そして、ダゴモンの海の基である暗い感情自体は自然なものであり、誰しもが持つものです。
・魔=闇の力は人間の内にある。すべての人間の心の内に(小説版)
・ヤマト「闇が心に入り込もうとしたのではなく、自分の中の心の闇が闇を引き寄せた」(無印51話)。
・タケル「確かに暗黒というのは恐ろしいものだけど、できればすべてなくしたほうが安心できるかもしれないけど、きっとそれは不可能なんだ。光があるところには必ず闇が存在するんだ。だからどんなに暗い闇の中でも自分の中に光を失わないことが大切なんだと思う。」(02-37話)
デジタルワールドが人の想いとデジタルなデータが融合した世界でから成り立っている以上、ダゴモンの海のような存在は必ず生じ、それもデジタルワールドを成す根幹の一つとなります。なお、必ずしも闇が人を呼ぶのではなく、人が闇を呼んでしまう面があることと、人を取り巻く闇はダゴモンの海由来に限らないということ(無印51話、02-49話、50話)には留意する必要があります。闇に関する描写を何でもかんでもダゴモンの海に関連付けるのはかなり短絡的であるというのが個人的な意見です。
チンロンモンが、「そこに至るまでの過程がどのようなものであっても、その存在には必ず意味がある」と言っていたように(02-37話)、ダゴモンの海や闇も何らかの意味のある存在なのでしょう。
ですので、闇が一般的に好ましくないものであろうと、デジタルワールドが存在するためにも、何らかの折り合いをつけていかなければならないと思います。
02最終回の「人の心の中には、そして世界中にも光と闇がある。これからもずっと光と闇は戦い続けるだろう。しかし、心の中の光を、夢を実現する力を忘れなければ大丈夫だ。」というナレーションにつながっていくのだと思います。最近の考察のほとんどが光と闇に関する結論になってる気がしますが、それだけデジモンアドベンチャーの根底に関わることなのでしょう